今月の臨床 ここまできた分子標的治療
分子標的治療の臨床応用
1.卵巣癌
森重 健一郎
1
1大阪大学大学院医学系研究科・産科婦人科
pp.1252-1255
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101582
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卵巣癌における分子標的治療のターゲット
卵巣癌においては一般にその発癌や癌の増殖に責任を持った特徴的遺伝子変異や遺伝子増幅はない.よって,治療としてターゲットとなり得る分子を同定することも困難である.ターゲットの同定はまず予後を決定付ける分子を同定し,実験動物でその分子を抑制または刺激する治療を行って,予後を検討することで行われる.しかし,最後は卵巣癌患者でその効果が確認されなくてはならない.例えば,乳癌でHER2が予後を決める重要な因子であることが見出され実験的にも確かめられたうえで,最後は臨床的に乳癌患者においてHER2を抑制することの有用性が確認された.分子標的になりうる候補分子は卵巣癌においてもいくつかあるが,分子標的治療としてはまったく未発達で,未だ臨床的に確立されたものはない1).
表1に卵巣癌における候補分子をまとめた.
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