今月の臨床 卵巣癌診療の最新情報
【卵巣癌治療の将来展望】
1.卵巣癌における抗癌剤耐性の克服
寺井 義人
1
,
大道 正英
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.1332-1337
発行日 2008年10月10日
Published Date 2008/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101881
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はじめに
卵巣癌はprimary cytoreduction surgeryとadjuvant chemotherapyが基本的治療である.卵巣癌における抗癌化学療法治療は1980年代のプラチナ製剤導入以来,飛躍的に予後が改善されてきた.その後多くのRCTを経て,現在TC(Carboplatin+Paclitaxel)療法が標準的治療として一般化している.しかし,初回治療で投与されるTC療法により50~60%が臨床的完全寛解に至るにもかかわらず,いまだに進行癌の5年生存率が20~30%と予後が悪い癌として知られている.その理由として,当初抗癌剤に感受性を示していても次第に耐性性を示す場合が多いことが考えられる.初回化学療法後に再発した卵巣癌は,すでに初回治療で使用されたカルボプラチンをはじめとする白金製剤に対する耐性性を示すために,second line以降の化学療法に対する奏効率は20~30%以下と低く,この白金製剤に対する耐性性の克服が再発卵巣癌に対する治療戦略の重要な鍵となっている.
本稿では,われわれの研究を中心に,白金製剤耐性にかかわる分子を標的とした耐性性克服の可能性について述べたい.
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