今月の臨床 エキスパートに学ぶ―漢方療法実践講座
【処方の実際】
2.男性不妊
布施 秀樹
1
,
渡部 明彦
1
,
小宮 顕
1
1富山大学大学院医学薬学研究部腎泌尿器科学
pp.1067-1071
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101834
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
不妊の半数は男性側に原因を認める.男性不妊の病因は,精子形成障害,精路通過障害,副性器障害ならびに性機能障害に分類される.精子形成障害が男性不妊の90%と大部分を占め,そのうち原因不明の特発性のものが過半数を占める.精索静脈瘤が30%に認められる.低ゴナドトロピン性性線不全症,停留精巣,クラインフェルター症候群なども,頻度は低いが精子形成障害をきたす.精路通過障害は数%であるが,外科的治療が奏効する点が特記される.
原因疾患の診断のために,問診では小児期の鼠径ヘルニア手術歴,流行性耳下腺炎の既往,潰瘍性大腸炎治療薬や抗悪性腫瘍剤などの薬歴を聴取する.精索静脈瘤の有無,精路の異常などを慎重に診察し,経直腸的超音波断層法により前立腺などの副性器の情報を得る.一般精液検査,内分泌検査,染色体分析などが行われ,精子機能の評価も時に必要となる.精液所見で精子濃度20×106/ml未満ないし,精子運動率50%未満の場合,通常治療の対象となる.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.