症例
診断的腹腔鏡により早期発見・治療に至った子宮広間膜ヘルニアの1例
大隅 大介
1
,
林 博章
1
,
杉山 隆治
1
,
中田 俊之
1
,
垂石 正樹
2
1市立旭川病院産婦人科
2市立旭川病院消化器内科
pp.891-895
発行日 2008年6月10日
Published Date 2008/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101804
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子宮広間膜ヘルニアは内ヘルニアの0.016%を占める稀な疾患である.今回われわれは術前CTにて診断し,腹腔鏡下に治療した本疾患の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は60歳の女性で,間歇的な下腹部痛で発症した.CT検査で左付属器と交差する直腸および左側に吊り上がった子宮を認めた.左子宮広間膜ヘルニアと診断し,腹腔鏡下に手術を行った.左子宮広間膜に約10 cmの裂孔を認め,これをヘルニア門として直腸が嵌頓していた.嵌頓腸管を整復し,左円靱帯・卵管・卵巣固有靱帯を切断して裂孔を開放した.腸切除は必要なかった.本症は稀であるが,腸閉塞の鑑別診断として念頭に置き,通常の婦人科診察上明らかな異常を認めない症例に対して,CT検査や診断的腹腔鏡により早期に診断・治療することにより腸切除を回避できる.
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