性教育 医療界と教育界のスクラムを! 第30回日本産婦人科医会性教育指導セミナー全国大会 シンポジウムより抜粋
思春期の性交(性行為)―主体的コントロールの性教育
武田 敏
1
1千葉大学教育学部
pp.331-335
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101706
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中高生は「性交をしない」主体的コントロール
思春期の性行為体験率が急増,低年齢化し,教育問題だけでなく社会問題化している.
Comprehensive sexuality educationとは包括的性教育と訳され,「中高生は性行為はしないことが望ましい.する場合はピルやコンドームを正しく使って妊娠や性感染症を防ぐ」という意味に解されている.しかし,これに対し教育界の保守派からの厳しい批判がある.「結果的に後者をとることになりやすく,しかも妊娠や性感染症のリスクにさらされている.避妊教育をしても,ときに忘れたり,避妊に失敗したりして中絶手術となるケースが少なくない」からである.コンドームを使っても感染する性器ヘルペスなどの性感染症もある.ピルやコンドームの効能は認められているが,完全ではないので「中高生は性行為(性交)はしない」と明言する教育がよいと主張する教師もいる.「性行動選択より性行為抑止が重要である」という.しかし過去の禁欲教育や脅し性教育に逆行することは,健全な判断力を育てる教育に反する.他者から強制されて我慢するのでは,教育的とはいえないと考えられる.筆者は初交年齢を遅らせる「主体的性行為コントロール教育」を推進してきた.その大略を以下に紹介する.
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