今月の臨床 臨床遺伝学─診療に必要な最新情報
遺伝カウンセリングの実際
2.流産
中岡 義晴
1
1IVF大阪クリニック
pp.1151-1157
発行日 2007年9月10日
Published Date 2007/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101566
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はじめに
産婦人科医にとって最も日常的に診療する疾患の1つに流産がある.流産の原因は非常に多岐にわたり,かつ曖昧なこともあるが,最も頻度が高く明確な原因となりうるものが胎児染色体異常である.遺伝子が構成要素である染色体の過不足は,胎児の致死的な要因となる.胎児の染色体異常は実に流産の50~70%1~3)と高率に認められている.母体年齢の上昇とともに,流産率が上昇することと,流産に占める染色体異常の割合が高くなることがわかっている.また,胎児の心拍確認後に心拍の消失した児においては染色体異常が高頻度に認められる.ただ,染色体異常を有する流産児のほとんどは,正常染色体夫婦から偶発的に生じたものである.
流産児染色体検査の実施は,直接の流産原因を知るだけでなく,次回妊娠への対処の方法を知る手がかりとして非常に重要であると考えられる.
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