今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
IV 感染症
【尖圭コンジローム】75.外陰部の不快感,掻痒感を訴えている妊娠8週の未産婦です.会陰部に鶏冠状となった尖圭コンジロームを認めます.
朝野 晃
1
1独立行政法人国立病院機構仙台医療センター産婦人科
pp.576-577
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101508
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1 診療の概説
尖圭コンジロームは,主にヒト乳頭腫ウイルス(human papilloma virus : HPV)6,11型の感染によって生じる性行為感染症の1つである 1).女性では外陰,腟前庭,腟,子宮腟部,尿道口周囲,肛門周囲に好発し,鶏冠状・乳頭状の腫瘍を形成し,巨大化することがある.感染後約3か月で肉眼的に認められるようになるが,症状は無症状であることが多い.ときに掻痒感を訴えるが,多くは陰部・肛門周囲に疣状の腫瘤を自覚し,受診する.診断は肉眼的にほぼ可能であるが,鑑別診断として腟前庭乳頭腫(hairly nymphae),ボーエン様丘疹症,扁平コンジローム,伝染性軟属腫,外陰癌などがあり,生検し,組織診断をすることが必要である.
治療は,手術療法では外科的切除,電気焼灼,レーザー蒸散,液体窒素による凍結療法が行われる.また,薬物療法には,5─FU軟膏,ブレオマイシン軟膏,ポドフィリン,3塩化酢酸溶液,イミキモドクリーム,インターフェロンなどが用いられることがあるが,いずれも保険適用はなく,十分なインフォームド・コンセントのもとに慎重に治療する必要がある.
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