今月の臨床 婦人科がん治療の難題を解く―最新のエビデンスを考慮した解説
子宮体がん
5.術後補助療法は?
衛藤 貴子
1
,
齋藤 俊章
1
,
塚本 直樹
1
1国立病院九州がんセンター婦人科
pp.1518-1523
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101349
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はじめに
近年,本邦において子宮体癌は増加の一途にある.体癌の標準的治療は,単純子宮全摘出術+両側付属器摘出術を基本とし,high risk群や進行症例には拡大手術や追加治療を行うことについては一致している.しかし,手術療法をどこまで行うのか,術後補助療法の適応,選択などについては確立したエビデンスがなく,欧米と本邦でも大きな違いがあるのが現状である.
術後追加治療は,欧米ではFIGO Annual Reportによると1),1993~1995年に治療されたIc期症例では術後放射線療法が行われているものが約79%,化学療法は3%にすぎない.本邦でも以前は放射線療法が広く行われてきた.しかし,骨盤外再発が多いこと,放射線治療によるリンパ浮腫や腸閉塞といった晩期障害などの問題により,近年は化学療法が行われる傾向にある.1999年の日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会報告2)によると,Ic期では約40%の症例で化学療法が施行されている.当科でも術後治療は筋層浸潤1/2以上,Grade3,子宮外進展例などを対象として,前述の理由により,1999年より化学療法のpaclitaxel+carboplatin(TJ)療法を第一選択としている.そこで本稿では,子宮体癌手術症例における術後補助療法について,放射線治療か,化学療法か,現在までの知見および今後について考察したい.
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