連載 婦人科超音波診断アップグレード・10
女性性器奇形の超音波所見
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
pp.91-104
発行日 2005年1月10日
Published Date 2005/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100158
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1 はじめに
女性性器奇形は,大きく分けると外性器の奇形,腟の奇形,子宮の奇形の3つに分類される.外性器の奇形には小陰唇肥大症,小陰唇左右非対称,陰核肥大,処女膜閉鎖症,外陰閉鎖(性器形成不全症)があり,腟の奇形には腟欠損症,腟形成不全,腟横中隔(完全閉鎖,不完全閉鎖),腟縦中隔がある.女性性器奇形はおよそ0.06~3%に認められるとされており1, 2),産婦人科医の誰しもが遭遇する可能性のある疾患である.しかし,疾患の内容によっては術前診断が困難な場合があり,開腹により初めて診断されるケースも少なくない.女性性器奇形は比較的若年の場合が多いため,不要な手術を避けるうえでも的確な術前診断が要求される.
われわれは,女性性器奇形の術前診断においてはMRIが有用であることを報告してきた.この領域における超音波診断の有用性については限られていると思われるが,特定の疾患ではほぼ確定診断が可能な場合もあり得るし,MRIを施行するに至る過程の1つとしてある程度の疑診を得ることができれば,1つの臨床的役割を果たすことになるのではないかと考える.今回は,自験例をもとに文献的検討を加えて各種女性性器奇形の超音波所見について述べたい.
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