今月の臨床 周産期の難題を解く―最新のエビデンスを考慮した解説
妊娠管理
5.細菌性腟症の治療は早産予防に有効か?
渡辺 尚
1
,
松原 茂樹
1
1自治医科大学産婦人科学教室
pp.1267-1273
発行日 2003年10月10日
Published Date 2003/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100809
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はじめに
低体重児出生の最大の原因は早産である.早産は,常位胎盤早期剥離,前置胎盤,妊娠中毒症などで起こることもあるが,その多くは切迫早産,前期破水から発生する.最近の研究から,切迫早産,前期破水では絨毛羊膜炎(chorioamnionitis : CAM)がその背景にあることが多いことがわかってきた.CAMを起こす感染経路としては,下部性器感染叢よりの上行性感染が多く,頸管炎を経てCAMに至ると考えられている1).
細菌性腟症は,Lactobacillusを中心とする常在細菌叢が,他の有害な細菌種により置換された状態である1, 2).細菌性腟症については,以前は本症が存在しても無症状であれば無視してもよいものと考えられていた.しかし,本症が早産の一原因として病的意義をもつことが明らかとなり,本症を治療することで早産の予防が可能かもしれないとの視点から注目を集めてきている.
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