今月の臨床 妊娠のリスク評価
妊娠経過の異常とリスク評価
1. 妊娠高血圧症候群
山田 秀人
1
1北海道大学大学院医学研究科生殖発達医学講座産科生殖医学分野
pp.970-973
発行日 2006年7月10日
Published Date 2006/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100747
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はじめに
妊娠高血圧症候群は,分娩時出血,塞栓とならび妊婦死亡の主要原因である.常位胎盤早期剥離,多臓器不全,全身の血管障害,DICなどを惹起する.したがって,早期発見と慎重かつ高度な周産期管理が求められる.
妊娠高血圧症候群(pregnancy induced hypertension : PIH)は,妊娠20週以降から分娩後に高血圧がみられ,分娩後12週までに回復する場合に診断される.以下の4病型に分類される.尿蛋白を伴う場合 : 妊娠高血圧腎症(preeclampsia),高血圧だけの場合 : 妊娠高血圧(gestational hypertension),妊娠20週までに高血圧や尿蛋白が存在し,20週以降増悪した場合 : 加重型妊娠高血圧腎症(superimposed preeclampsia),妊娠20週以降に痙攣発作を起こした場合 : 子癇(eclampsia).高血圧と尿蛋白は,それぞれ軽症と重症に病型分類される.さらに,妊娠32週未満発症を早発型,32週以降発症を遅発型に病型分類される.高血圧発症時期に基づく病型分類アルゴリズムを図1に示す.
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