今月の臨床 妊娠中毒症─新しい名称と定義
中毒症の臨床
4.関連疾患の管理・治療 3)肺・脳・眼関連疾患
村岡 光恵
1
,
髙木 耕一郎
1
,
太田 博明
2
1東京女子医科大学附属第二病院産婦人科
2東京女子医科大学産婦人科学教室
pp.1045-1049
発行日 2004年8月10日
Published Date 2004/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100585
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はじめに
妊娠中毒症は高血圧,蛋白尿,浮腫からなる症候群として認識されてきたが,近年,血管攣縮を中心に病態の解明が進められている.2004年には,日本産科婦人科学会周産期委員会から,高血圧がその病態の中心であることを考慮した「妊娠高血圧症候群の定義・分類」が提案された1).そのなかで子癇は病型分類の4番目に位置し,妊娠20週以降に初発する痙攣発作で,てんかんや二次性痙攣を否定したうえで,発症時期により妊娠子癇,分娩子癇,産褥子癇とすると定義された.
また,肺水腫,脳出血,常位胎盤早期剥離およびHELLP症候群については,以前は特殊型と分類されていたが,「必ずしも妊娠高血圧症候群に起因するものではないが,かなり深い因果関係がある重篤な疾患であり,病型分類には含めない」と付記されている.ACOG(米国産婦人科学会)のpreeclampsiaの管理指針2)には,脳や視覚の障害,あるいは肺水腫,チアノーゼ,血小板減少,IUGRなどは,高血圧や蛋白尿の重症化と並んで,妊娠中毒症の重症度における判定基準の因子とされている.
本稿では,妊娠中毒症に伴って生ずる脳,肺,眼などの病態とその管理・治療について述べる.
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