今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
4.妊娠・出産にかかわる疾患の治療と注意点
[妊娠・分娩] 切迫早産,前期破水
山口 昌俊
1
1宮崎大学医学部産婦人科
pp.629-631
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100298
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1 診療の概要
切迫早産の概念について本邦と諸外国では相違がある.すなわち本邦では,妊娠37週未満で周期的に子宮収縮が認められ,子宮頸管の短縮と熟化のみられるものを切迫早産と考えるのに対し,米国産婦人科学会(ACOG)では,(1)子宮収縮が20分に4回もしくは60分に8回以上あり,子宮頸管の開大が進行していくこと,(2)子宮頸管が1 cm以上開大していること,(3)展退が80%以上であること,の3点を満たすものと定義している1).そのため,米国では肺成熟促進目的のステロイド療法の効果が出るまでの妊娠延長が論議されるのに対し,本邦では長期の妊娠延長の効果が論議される.
切迫早産症状には頸管熟化と子宮収縮という2つの要素があり,感染などによるサイトカインの産生が重要であるが,種々の要素が絡み合って発生する2).特に妊娠28週以前では感染症が関係していることが多いといわれる.一方,前期破水は陣痛開始前に破水するものをいい,早産の原因の1つである.種々の原因が考えられるが,最近,感染の関与が注目されている.
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