今月の臨床 症例から学ぶ常位胎盤早期剥離
早剥管理の新しい視点
超音波診断の再評価
石原 楷輔
1
,
菊谷 真理子
2
,
朝倉 啓文
2
,
唐沢 忠夫
1
1新横浜母と子の病院
2日本医科大学第二病院産婦人科
pp.185-189
発行日 2005年2月10日
Published Date 2005/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100175
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はじめに
本症の診断には超音波検査が非常に有用で,その所見は胎盤後血腫像,胎盤肥厚像,胎盤辺縁の膨隆像とされる1).とくに胎盤後血腫像,胎盤肥厚像を認める症例は病態が重症化していて臨床所見も顕著であるため,診断そのものは容易である.一方,発症が初期あるいは胎盤剥離が小範囲にとどまっている場合は,臨床症状や所見に乏しく,むしろ切迫早産のそれに類似するため本症が看過されやすい.もし病態が軽症で,臨床所見も軽い段階で抽出できれば,続発する重症化を未然に防ぐことができ,トラブル防止につながるであろう.
このような視点を踏まえ,われわれが経験した常位胎盤早期剥離について,臨床経過と超音波所見を後方視的に検討し,どのような症例に注意を払い,どのような超音波所見に注目すべきか,新たな評価を試みた.
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