今月の臨床 症例から学ぶ多嚢胞卵巣
多嚢胞卵巣症候群の病因論―とくにインスリン抵抗性の意義について
高倉 賢二
1
1京都大学大学院医学研究科器官外科学・婦人科学産科学
pp.72-77
発行日 2005年1月10日
Published Date 2005/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100155
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はじめに
多嚢胞卵巣症候群(polycystic ovary syndrome : PCOS)は生殖年齢の女性において最も高頻度にみられる内分泌疾患であり,その頻度は4~12%といわれている1~3).PCOSにおいては,排卵障害に伴う不妊症だけでなく,若年性子宮内膜癌,糖尿病や動脈硬化性疾患などの生活習慣病などが発生することも多いといわれており4),産婦人科あるいは女性内科領域において非常に重要な疾患であるが,その病態については比較的はっきりしているものの,疾患概念については混乱がみられる.さらに病因については時代とともに変遷し,これまでにさまざまな説が提唱されてきた5, 6).病因論のなかで最近注目を集めているのはインスリン抵抗性(insulin resistance)であり,本稿では疾患概念の整理および病因論の歴史とともに,インスリン抵抗性とPCOSとのかかわりについて概説する.
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