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1 悪性卵巣腫瘍外来の意義
進行卵巣癌に対する治療の進歩により寛解率は向上したものの,長期生存予後の改善はほとんど認められない.このため卵巣癌外来の意義は,早期診断と治療方針の早期決定であると考えられる.さらに,その後の治療や退院後のフォローアップまでの流れにおいて常に合理的でかつ患者QOLを優先した管理を外来において行わなければならない.近年の医療技術の向上により,必ずしも入院管理が必要ではない症例も増加しており,外来医療の占める役割が大きくなっていると考えられる.
2 診 断
1.スクリーニング
卵巣癌においては,先述したように早期発見が非常に重要である.しかし,子宮癌と異なり精度の高い早期発見の方法が確立されておらず,スクリーニングの方法が模索されている.腫瘍マーカーのみでの検診として,Jacobsら1)は45歳以上22,000人を対象とし,I期での診断率は32.7%に過ぎなかったとしている.経腟超音波による検診としては,Van Nagellら2)は14,469人を対象とし,I期症例においても発見率は64.7%と腫瘍マーカーのみでの検診に比して超音波の有用性を報告している.小林3)は施設受診者7万人あまりに対し,経腟超音波および6種類のマーカーコンビネーションアッセイを用いた検診を行い,さらに両者をコンピュータ解析したところ,通常の集団検診に比して69.6倍の癌発見率であったとし,その有用性を報告している.しかしながら,どの報告にもかなりの偽陰性群の存在を認めており,スクリーニングとして完全な方法はいまだなく,またスクリーニングにより死亡率が改善することを実際に証明した報告もない.医療経済が厳しくなりつつある現在ではcost for valueの問題もあり,真に有効なスクリーニング手法の開発が待たれるところである.
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