今月の臨床 妊婦と胎児の栄養管理
妊娠中の栄養代謝
胎児の栄養代謝
岩下 光利
1
1杏林大学医学部産科婦人科
pp.239-243
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100044
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胎盤における物質輸送
胎児は母体からの栄養に100%依存しており,母体側の栄養物質は胎盤を介して胎児側に輸送される.胎盤には種々の物質の輸送機構が存在し,胎盤のこの機能が障害されると母体の栄養状態のいかんにかかわらず胎児発育は抑制される.ヒトの胎盤は血絨毛性胎盤で胎児側の組織である絨毛は直接に母体の血液に接しており,絨毛上皮細胞の母体血に面する側は微絨毛構造を有し,この部位に物質輸送のための特異的な膜輸送機構が存在している.胎盤絨毛上皮細胞の物質輸送様式はほかの細胞と同様に,単純拡散,促進拡散,能動輸送,ピノサイトーシスなどの存在が証明されている(表1).
本稿では,胎児にとって最も重要な糖とアミノ酸の輸送機構についてのみ触れる.
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