新しい視点をさぐる リプロダクションと母体適応
胎児の発育をめざす母体代謝
森 憲正
1
Norimasa Mori
1
1宮崎医科大学産科婦人科学教室
pp.547-550
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205869
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妊婦は顕微鏡的大きさの受精卵から約10ヵ月間に3kg以上に発育する胎児を子宮内に保持し,胎盤を介して栄養を供給しなければならない。胎児が母体の栄養状態を考慮することなく,ある程度の自律性をもって発育していることは臨床的にもよく知られている。
妊娠時母体の低栄養状態でも摂取栄養素は優先的に胎児に利用され,とくに胎仔脳の発育は正常の母体栄養状態と変わるところがないといわれる1)。この場合栄養不足分は母体の消耗で補われている。栄養不足あるいは正常の状態でも胎児発育を優先されるように,母体は量的,質的に妊娠性変化を行ない,胎児発育に備えているものと考えられる。
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