Japanese
English
臨床経験
多発性皮下腫瘤形成を伴った手関節滑膜軟骨腫症の1例
A Case Report of Synovial Chondromatosis of the Wrist with Multiple Subcutaneous Nodules
北澤 久也
1
,
岩崎 安伸
1
,
鵜飼 和浩
1
,
水野 耕作
1
,
廣畑 和志
1
Hisaya Kitazawa
1
1神戸大学医学部整形外科学教室
1Department of Orthopaedic Surgery, Kobe University School of Medicine
キーワード:
滑膜軟骨腫症
,
synovial chondromatosis
Keyword:
滑膜軟骨腫症
,
synovial chondromatosis
pp.159-164
発行日 1986年2月25日
Published Date 1986/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908706
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抄録:症例は29歳男性,約1年前より左手関節の鈍痛と軽度可動制限を生じ,手関節周囲の3個の皮下腫瘤を主訴に昭和59年7月本科を受診.X線像,CTで舟状骨,有鉤骨,橈骨末端部に侵蝕像を認め,又手関節造影,腱鞘造影より橈骨手根関節内に多発性結節病変がある事と皮下腫瘤は腱鞘と関係のない事を認め手関節滑膜軟骨腫症を疑い腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は白色で軟骨様で茎を有し関節との関連が示唆された.関節内に遊離体はなく,多発微細結節を有する滑膜が見られた.組織学的には典型的な軟骨腫症であったが,滑膜には成熟軟骨細胞より成る結節以外に異染性を示さない幼弱な軟骨細胞より成る結節も多数認めた.電顕的にも滑膜表層線維芽細胞から幼弱軟骨細胞,成熟軟骨細胞へと移行する像を認め,本症の発生原因として化生説を裏付けるものである.本例のごとく関節外への脱出した症例は,報告が少ない.
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