特集I 頸椎後縦靱帯骨化症
第2回脊椎外科研究会印象記
小野 啓郎
1
,
寺山 和雄
2
,
井上 駿一
3
,
竹光 義治
4
,
服部 奨
5
,
平林 洌
6
1大阪大学整形外科
2信州大学整形外科
3千葉大学整形外科
4旭川医科大学整形外科
5山口大学整形外科
6慶応義塾大学整形外科
pp.1097-1107
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908535
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頸椎後縦靭帯骨化症の成因
硬い骨稜が脊髄の前面に喰い込んでいる剖検例を一度でも見たことのある者は,後縦靱帯骨化症の外科治療(切除)についてその限界を痛感するに相違ない.では一体根治させるか,ないしは骨化を完全に抑制する方法があるのだろうか.結局それは結合織の生成,分化,変性などの過程を解明しえてはじめて可能になるテーマなのだろう.靱帯の骨化・石灰化という現象はこの結合織の生理・病理の一分野に属するものにすぎなかろうが,頸椎後縦靱帯骨化症の治療を目指しておそらく急速な研究の進展が見られるだろう.
第2回脊椎外科研究会の演題1-5では本症の基礎的研究がまさにスタートラインに並んだ観がある.生化学的研究(名古屋大学花村ほか),HL-A抗原を指標とした素因論(北海道大学,藤谷ほか),代謝障害説一糖ならびにCa代謝との関連(天理病院,宮崎ほか),fluorosisとの関連(東京大学,関ほか)および病理組織学的研究(済生会中央病院,佐々木ほか)である.
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