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社会医学研究会印象記
黒子 武道
pp.703-705
発行日 1960年9月1日
Published Date 1960/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201711
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第1回社会医学研究会は創立,総会をかねて去る7月29日,30日の両日,東京都千代田区,日本都市センター講堂に於て開催された。酷暑の中であつたが約130名の参会者を得て終始熱心な討論が交され,予期以上の成果を収め,ここに社会医学研究会の正式発足を見るに至つた。
本会設立への動きを理解するためには,日本に於ける社会医学の起源,歴史的意義,その思想的背景について考察しなければならないが,その詳細については他日にゆずり,主として戦後に於ける会設立の過程について簡単に触れてみよう。戦後,公衆衛生の飛躍的発展にともない国民大衆の医療に対する関心が急速に高まり,医療制度の改善,国民皆保険等医療保障,衛生行政に関する諸問題について,医療関係者は勿論,広く社会科学者等によつても社会保障,経済政策の面から積極的な発言が見られるようになつた。公衆衛生学会に於いても数年来医療保障の分科会,自由集会においてこれらの問題について取扱うようになり,医療及び公衆衛生発展のための経済的,社会的条件の究明を行うことになつた。これらの諸集会は年々盛んとなり,同様の集会が全国各地で持たれるようになつたので同じ関心を持つ全国の研究者を糾合した1つの研究組織を作ろうという機運が起きてきた。一昨年4月,日本医学会総会の折りその具体化が問題となり,社会医学研究会なる仮称のもとに準備会をかねて研究発表会を開催することになり,昨年7月,東京に於ける会合となつたわけである。
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