特集 脊椎外科(第1回脊椎外科研究会より)
腰部椎間板ヘルニヤと骨盤外坐骨神経障害の鑑別点
本間 光正
1
,
吉森 喜徳郎
1
,
木下 行洋
1
Mistumasa HONMA
1
1社会保険中央綜合病院整形外科
pp.949-951
発行日 1974年11月25日
Published Date 1974/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908525
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腰痛を訴える代表的な疾患として腰部椎間板ヘルニアがあるが,この治療方法について種々の面より検討され,ほぼ確立したかの感がある.しかし観血的療法については保存的治療に抵抗するという理由から安易に髄核剔出術が行なわれ,しかもそれらの術後の成績は必ずしも満足すべきものではないようである.術後成績の報告でも80%の治癒をみているが残りの20%については診断・手術適応の不適確さと技術的問題も予想される.我々は腰部椎間板ヘルニアなど腰痛を訴える疾患の症状を腰部痛と下肢痛に分けて考えた.この下肢痛がいわゆる症候性坐骨神経痛である.この疼痛の原因を骨盤外坐骨神経の走行と周囲組織との解剖学的な関連性に求め治療を行つている(第1図).一般に骨盤外に出た坐骨神経は坐骨と梨状筋腱の間で圧迫固定され,更に内閉鎖筋腱により外側凸の屈曲が強いられている.一方梨状筋腱の破格についてはBeatonらの報告(1973年)のごとく5種類あり,症例によつてはこれらの破格による坐骨神経の絞扼も起こり疼痛の原因となる.この破格の発生頻度は欧米では15%前後といわれている.日本では福本の報告(1935)のごとく34.6%と高率にみられる.更に,臀筋部は本人の記億の有無にかかわらず,転倒・打撲などによる直達外力を受け易い所で,内出血などによる神経周囲の線維性変化が容易に起こることが予想される.
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