検査法
筋疾患の血清酵素学的診断
徳永 純一
1
Jun-ichi TOKUNAGA
1
1九州大学医学部整形外科学教室
pp.366-374
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908461
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はじめに
体液,特に血清の酵素活性値測定が臨床診断に役立つことは衆知の通りである.古くはWohlgemuth(1908)のAmylase測定による急性膵炎の診断があり,LaDue,Wroblewski,Karmen,(1954)15)によつて血清のglutamic oxyaloacetic transaminase(GOT)が心筋硬塞症や肝炎の患者で活性値の上昇を認めるという報告以来,各種酵素の臨床診断への応用が急速に進歩してきた.筋肉の解糖系の全貌は今日では,明らかとなつているにも拘らず,筋疾患診断に対する酵素の利用は,いまだ数種に留つているに過ぎない.1949年Sibley,Lehningerは進行性筋ジストロフィー症(DMP)の患者血清中にAldolaseが増加することを発見,Schapiraら(1953)31)によつて,血清Aldolaseの変動について詳細な報告がなされ,筋疾患診断に利用されるようになつた.次いで1959年江橋ら8)により,血清Creatine phosphokinase(CPK)がAldolaseより鋭敏,著明な変化を示すことが報告され,現在では,筋疾患,特に,DMP,その内でもDuchenne型の診断に必須の検査法となつている.
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