論述
新鮮外傷の応急療法について(第1部)—抗生物質局所応用の適応と意義
松元 輝夫
1,2
Teruo MATSUMOTO
1,2
1Walter Reed Army Medical Center実験外科
2Dept of Experimental Surgery Walter Reed Army Institute of Research
pp.211-217
発行日 1968年3月25日
Published Date 1968/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903889
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
災害時における外科治療の根本原則がdebridmentすなわち壊死組織ならびに異物の除去にあることはいうまでもない.debridmentこそ組織感染を最少限度に抑制し,外傷治療に対する最上の方法であるが,外科医によるdebridmentは必ずしも外傷後直ちに実施できるとは限らず,その時期が止むをえない事情の下に遅延する場合も存在する.このような例は鉱山事故,大風,水害,交通事故など,多数の外傷患者が同時に同一場所に発生した場合はもちろん,鉱内に閉じ込められ救助を待つ場合,更に医療機関の乏しい僻地における災害,飛行機,電車あるいはバスによる事故に際しても当然考慮されるべき問題である.
一定期間以上debridmentの遅延した外傷はしばしば細菌感染を惹起し,ために必要以上の入院治療をもよぎなくされ,また好ましからぬ結果を生ずることも稀ではない.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.