整形外科を育てた人達 第59回
Theodor Kocher(1841-1917)
天児 民和
1
1九州大学
pp.622-625
発行日 1988年5月25日
Published Date 1988/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907860
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Theodor Kocherは外科教授としてBern大学で多くの業績を残されたが決して整形外科医ではない.しかし19世紀から20世紀の初期の整形外科はあまり大きな手術をしていなかった.そのためドイツ整形外科学会の第12回の会長になったWienのHans Spitzy(1872-1956)がドイツ整形外科学会Deutsche Gesellschaft fur Orthopaedische ChirurgieのChirurgieを省きDeutsche Gesellschaft fur Orthopaedieとしてしまった.ListerのAntisepsisからAsepsisに進歩し,現在の整形外科は手術的療法を広く取り入れている.整形外科で手術をあまり行わなかった時に外科では四肢の手術を活発に行っていた.殊にKocherは関節の手術も行い,皮切を考えて関節に侵入する術式を考案している.今日外科手術書の関節の部分を見るとKocherの術式が数多く記載されている.その為にKocherは整形外科医ではないが整形外科を育てた人達の一人であると言っても過言ではないと思う.
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