Japanese
English
臨床経験
人工透析患者に発生し,骨癒合に難渋した大腿骨骨幹部骨折の1例—アルミニウムとの関連について
A Case Study of a Hemodialysis Patient with a Fracture of the Femoral Shaft for which Bone Union was Difficult: with Reference to Aluminium
溝畑 隆男
1
,
石井 良章
1
,
久津間 健治
1
,
佐藤 圭子
1
,
河路 渡
1
Takao Mizohata
1
1杏林大学医学部整形外科学教室
1Department of Orthopaedic Surgery, School of Medicine, Kyorin University
キーワード:
人工透析患者
,
hemodialysis patients
,
大腿骨骨幹部骨折
,
fracture of the femoral shaft
,
骨癒合
,
bone union
,
アルミニウム
,
aluminium
Keyword:
人工透析患者
,
hemodialysis patients
,
大腿骨骨幹部骨折
,
fracture of the femoral shaft
,
骨癒合
,
bone union
,
アルミニウム
,
aluminium
pp.1097-1101
発行日 1987年9月25日
Published Date 1987/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907698
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抄録:人工透析患者に発生した大腿骨骨幹部骨折に対し骨接合術を施行したが,骨癒合を得られぬまま再骨折を生じた症例を経験し,骨癒合とA1(アルミニウム)との関連を追求した.症例は45歳女性.昭和56年より人工透析を開始し,2年後左大腿骨骨幹部骨折を起こし,angle plateによる観血的骨接合術を施行した.以後,骨癒合不良にて約11ヵ月後に再骨折とプレートの破損を起こした.本症例では骨癒合が遅延し何ら外傷の既往なく再骨折を生じたこと,血清A1値が7.5μg/dlと高値を示したことからA1中毒性骨障害を考えキレート剤desferrioxamineを投与すると共に観血的骨接合術を併用し,骨癒合の徴候を認め良好な経過をたどっている.また,AI検索のために行った硬組織の分析電子顕微鏡によるspot analysisではAIの有意のピークを認める部位があり,示唆に富んだ所見と思われた.以上により,AIが骨折部の石灰化抑制作用に大きな影響を与えていたものと推論した.
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