視座
fibrous dysplasiaについて
北川 敏夫
1
1熊本大学整形外科
pp.801
発行日 1987年7月25日
Published Date 1987/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907655
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fibrous dysplasiaは,なかなかむつかしい病気である.単発性のものは掻爬して骨移植をすれば大体それでおちつくと考えられる.然し多発性のものはどうであろうか.私共の熊本大学整形外科は昭和二十九年開講したのであるが,その手術第1例はfibrous dysplasiaであった.始めは単発性と思われたが多発例の広汎なpolyostotic typeであった.何回か手術を行ったが,病巣は完全に治癒しなかった.この患者さんは女性であるが,結婚して遠くの土地に移転した.移転先で,私の知り合いの某整形外科でX線をとってもらうよう電話したところ,その患者さんの答は次の如くであった.私は結婚して何不自由なく幸福にくらしている,今またX線をとって,あすごがわるい,ここがわるいなどと言われると幸福な生活が破壊される.然し,先生にはお世話になっているので,X線はとってもらいます.然しその結果は私には絶対に言わないでほしいということであった.X線をとってもらったのを拝見したが,大腿骨,下腿骨には広汎な病巣がある.然し患者は主婦としての労働を全く無理なく行っているのである.この症例は24年間経過をみている.
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