視座
高齢者の生きがい作りのために
山本 博司
1
1高知医科大学整形外科
pp.1191
発行日 1986年11月25日
Published Date 1986/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907503
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私たち高知医科大学に森本正紀学長という実に気宇壮大な大先生がいられたが,今春,御退官になられた.その退官の日に,森本学長は「高齢者の医療のことをたのむよ」としみじみと申された.まさに美しき老盛を過されている先生の短い言葉には深みがあった.
人生80年の時代が急ピッチでやって来た.目前の21世紀には65歳以上の人口割合が20%に達するであろう.人口の高齢化で,寝たきり老人やぼけ老人も増えるであろうし,当然のことその対策として,医療給付費や老人福祉費も急増し,若い世代に重荷になるであろうとの暗いイメージも浮んでくる.これに対する十分な備えはできないようだし,官民ともにまだ危機感が薄いように思える.これらのことを森本学長は指摘したに違いない.
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