視座
足持ち3年と新しい治療法
西 法正
1
1国立王子病院整形外科
pp.111
発行日 1983年2月25日
Published Date 1983/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906677
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我々の入局当時先天股脱のギプス固定が毎週何例かあった.新人は足持ち専門である.足持ち3年は当然のことでありその間に整復の仕方やギプス包帯のこつを覚えた.
1963年から64年のことであるが,Walldiusは蝶番軸の止め金の工夫や人工膝関節実用化での苦労話をし,人工股関節はテフロンとの組み合せで苦闘していた.Charnleyは既にH. D. P.と骨セメントで成功していた頃であるが,私は寡聞にしてそれを知らなかった.Küntscherは髄内を介しての閉鎖式骨切り術器械を得意になって紹介してくれたし,Judetの天才的な手術はとても他人には真似られないと驚嘆させた.脚長差に対して長身のデンマークでは骨端癒合術が,身長の小さいスペインでは脚延長術が行われ,アメリカでは股関節も膝関節も依然cup形成術が盛んであった.各国各様であり,また教科書でしか紹介されていない手技が現存しているのにも驚かされた.それらは優劣というよりむしろ好みと伝統に培われた独自の治療法というべきものであった.
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