Japanese
English
論述
骨肉腫予後因子の検討(第1報)—多変量解析の導入
Study of Prognostic Factor in Osteosarcoma: the Multivariated Analysis
井須 和男
1
,
後藤 守
1
,
山脇 慎也
1
,
姥山 勇二
1
,
中里 哲夫
1
,
石井 清一
2
,
佐々木 鉄人
2
,
薄井 正道
2
,
八木 知徳
2
Kazuo ISU
1
1国立札幌病院整形外科
2北海道大学医学部整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, National Sapporo Hospital
キーワード:
予後因子
,
prognostic factor
,
骨肉腫
,
osteosarcoma
,
多変量解析
,
multivariated analysis
Keyword:
予後因子
,
prognostic factor
,
骨肉腫
,
osteosarcoma
,
多変量解析
,
multivariated analysis
pp.531-539
発行日 1982年6月25日
Published Date 1982/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906555
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はじめに
骨肉腫の予後は,原発巣の根治手術と平行して行う系統的化学療法の導入により,大きく改善されつつある.われわれの経験した症例においても,化学療法により単なる延命のみでなく治癒率の向上も期待できることを報告した4).化学療法の治療効果を判定するとき,対照群に対する化学療法群の生存率の向上が指標となる.その際,両群の特性の偏りを考慮しなければ,真の化学療法の効果を判定することは困難である.すなわち,骨肉腫の予後に影響を与える因子を明らかにし,その予後因子について両群の差を評価する必要がある.
一方,現在の化学療法は,症例毎の差を無視した画一的なスケジュールで行われている.従来の系統的化学療法を行わなかった症例でも約20%の治癒率のあったこと4),現在の化学療法でも早期より肺転移の出現してくる症例のあること7),また化学療法の副作用も決して無視できないことなどを考えると,個々の症例の特性に応じた化学療法の実施が理想である.そのためには,適切な抗癌剤を選択するスクリーニング・テストとともに,予後因子の解明が不可欠である.
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