視座
成長期のスポーツ障害—整形外科医・学会の役割
河野 左宙
1,2
1聖隷浜松病院整形外科
2新潟大学
pp.1015
発行日 1980年11月25日
Published Date 1980/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906228
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近年スポーツが小学生から社会人,老人まで普及したことは,健康増進と明るい環境作りに大変結構なことだと思う.その中で,先年京都で開かれたSICOTのおり,日本側委員がまとめた「健康のための十訓.整形外科〕には「子供のスポーツで過度高度のテクニックは危険」の提言がなされており,また最近の各地でのスポーツ医学研究会でも,各種障害とその対策が報告されている.しかし現実には,これらに係わりなく,少年スポーツは過熱高度化の一途をたどつている.
このときにあたり,明春開催の日本整形外科学会総会で土屋会長が「成長期骨軟骨のスポーツ障害」をシンポジウムにとりあげられたことは,科学的資料に基づいてその障害の実態を明らかにし,正しい少年スポーツのあり方を周知させる上に,時宜を得た企画といえる.近着の整形外科専門誌上で,茂原重雄氏は,「スポーツ指導者に医学教育を」と論述しておられるが,その論旨に同感である.スポーツは年齢,性,体力などに応じて,適度に行われてはじめて健康増進に役立つ.発育期の肉体,特に骨軟骨は,成人と異なり,繰返し応力により傷つき易い弱点を内蔵していることを,一般スポーツ指導者の多くは知っていない.
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