臨床経験
Chondropathia patellaeの病態と治療について
末沢 慶紀
1
,
H. Zollinger
1
Yoshinori SUEZAWA
1
1Aus der Orthopädischen Universitätsklinik
pp.1119-1127
発行日 1978年12月25日
Published Date 1978/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905819
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I.序論
膝蓋骨関節軟骨の軟化から欠損に至るまでの退行性変化は1906年Büdingerの記載を嚆矢とする.いわゆるChondromalazia patellaeの種々の変化については,さらにLäwen(1925年),Fründ(1926年)などの報告がある.前者はChondromalazia patellaeとArthrosis deformansとの病理所見と共通性をあげ,発症にはbegleitende Synovitisが大きな役割を果たすと述べた.FründはRachitis様の局所所見あるいは組織修復機転の障害を素地として,これに外傷などを転機として発症するであろうと推測した.
Hinricsson(1939年)は604例のChondropathia patellaeについて,その66.9%に外傷の既往があり,また職業上膝を酷使する者に多くみられることを強調した。その病態発生については,その他Kulowski(1933年),Fairbanks(1937年),Chaklin(1939年),Hirsch(1944年),Cave(1945年),Fürmaier(1953年),Wiles(1956年),Outerbridge(1964年)などの数々の報告があるが,明確な定説はなく,結局,大腿膝蓋骨関節が何らかの原因で不適合をおこし,これが直接,間接的に疼痛の原因となるであろうと推測されるに止まつた.
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