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鼻閉の病態とその治療
市村 恵一
1
1自治医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.87-96
発行日 2000年2月20日
Published Date 2000/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902106
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Ⅰ.鼻閉と鼻閉感
鼻閉は鼻疾患のほとんどにみられ,日常診療において最も多い訴えの1つである。鼻閉は,鼻から上咽頭にかけて空気の通過を妨げる要素が生じて鼻呼吸がうまくいかない状態であるが1),主観的症状であるため,「鼻閉感」にほかならない。そこで,普通に息をしている状態で鼻を通る空気量が不十分と感じる自覚2),鼻内気流が乱れた場合に生じる不快感3)などとも定義される。客観的な鼻内所見,鼻腔通気度,最小鼻腔断面積といった測定所見と鼻閉感は多くの場合相関するとされるが,各人の鼻閉感には個人差が大きく,また,鼻腔内が広く開いているのに鼻閉を訴える状態(萎縮性鼻炎など)や,明らかに鼻腔内が狭いのに鼻閉を訴えない例(メジャートランキライザー服用中の分裂病患者など)のように客観的鼻閉と自覚的鼻閉(感)の一致しない例もみられる。
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