臨床経験
鎖骨後方腫瘍の治療経験—特にthorcoplastic forequarter amputationの手技と適応について
荻野 幹夫
1
,
蜂須賀 彬夫
1
,
古谷 誠
1
,
浅井 春雄
1
,
小坂 正
1
,
村瀬 孝雄
1
,
笹 哲彰
1
,
野田 栄次郎
2
,
櫻井 正則
2
,
岡部 英男
2
Mikio OGINO
1
1国立病院医療センター整形外科
2国立病院医療センター胸部外科
pp.781-785
発行日 1978年8月25日
Published Date 1978/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905758
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はじめに
腋窩より鎖骨上窩に至る領域は,前方は鎖骨と大胸筋により,後方を僧帽筋,肩甲骨,広背筋等による壁にかこまれ,深部は触診が困難な部分である.本領域は,上肢への大血管や神経幹以外にリンパ節,粗な結合織,脂肪組織を含み,軟部組織原発性悪性腫瘍の発生が見られるが,腫瘍が相当大きくなるまで圧迫症状を起こしにくいのと,触診が困難なため,診断が遅れがちである.特に再発生の腫瘍の場合,診断が遅れ,上肢への重要な大血管や神経幹に病変が及んだり,胸壁や肩甲骨との剥離が困難で,完全切除が困難な事が多い.これらの腫瘍のうち,肺や頸椎等に遠隔転移を起こし易いものは,大きな侵襲を加える完全切除の対象にはならないものが多いが,遠隔転移が遅く,局所的に再発したり浸潤するものに切除術の適応がある.このような4例の切除術を経験したので報告し,術式5)について述べるのが本文の目的である.
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