臨床経験
椎間板ヘルニアの手術中総腸骨動脈を損傷した1例
杉浦 譲
1
,
西 源三郎
1
Yuzuru SUGIURA
1
,
Genzaburo NISHI
1
1山田赤十字病院整形外科
pp.282-284
発行日 1978年3月25日
Published Date 1978/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905689
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1934年,Mixter1)およびBarrにより,椎間板ヘルニアの手術が提唱されて以来,幾多の手術が行なわれてきた.近年に到り,この手術の術後成績に関しては多くの機関より種々の検討が行なわれてきた.しかし,術中,術後の合併症に関する報告は非常に少ない.術中合併症として,本邦では,上田ら2)の術中大血管損傷後の動静脈瘻形成の一例報告をみるのみである.彼らは動静脈瘻に続発する心不全につき内科的見地より考察を行なつた.1945年,Linton3)およびWhiteにより,始めて,手術中血管損傷の報告が行なわれて以来,欧米諸国では術中合併症としての,腹腔内臓器損傷,特にmajor vascular damageの報告4)は比較的多くみられる.欧米では,personal comunicationとして伝わる例が多いようであるが,本邦でも,この傾向にある.われわれは,昭和48年,椎間板ヘルニア手術中,左総腸骨動脈の損傷をきたしたので,整形外科的,救急医学的見地より,文献的考察を加えて報告する.
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