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去る7月9日から第10回ラテンアメリカ整形災害外科学会に招かれてRio de Janeiroの学会に出席した.その席上OxfordのDuthie教授にお目にかかつたが,そこでTrueta教授が数ヵ月前に亡くなられた話を聞いた.病気は直腸がんで手術したが切除できなかつたという話であつた.私のよく知つている世界の整形外科学界の長老がだんだんと少なくなつてゆくことは誠に淋しいことである.私がTrueta教授にゆつくり逢つて話をしたのは1965年で,現在の九州労災病院にPT,OTの学校ができる時に英米のその方面の学校を視察し,ドイツの整形外科学会に出席するのが大きな目的であつたが,British Councilが私に見学のコースを世話してくれた.丁度Oxfordに義肢のFitting Centerの計画があるというのでOxfordを訪ねた.その時Trueta教授の部屋でいろいろ話をし,一緒に食事をし写真をとつたりしたし,その後2回ほど日本にくるよう招待状を出したが残念ながら先方の日程とこちらの日程がうまく一致せずついに実現できなかつたのである.
さて,ブラジルでTrueta教授が亡くなつたという話を聞いて日本に帰つてくるとJ. B. J. S.のBritish版が到着した.そこにTrueta教授の死亡の通知といろいろの思い出話がのつている.皆様もお読みになつたことと思う.Truetaは元来スペインの出身である.丁度彼がBarcelonaにいる時にスペインの1935年市民戦争が始り,Barcelonaの街も大半が爆撃せられ,多くの負傷者を彼は取扱い,新しいアイディアで創傷の肝油ギプス包帯法を発見した自もちろんこれは彼だけではなくてOrr氏も同様の方法を考えていたが,それを彼が多くの患者に実行した.
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