紹介
生沼教授の思い出—勿忘草
W生
pp.90-91
発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905619
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岡山大學生理學教室同門會はこの出版困難の際に恩師生沼教授の7回忌を期して勿忘草・生沼曹六博士と題する二百數十頁の追憶記念出版を敢行せられたのでこゝに紹介の一文を草して同門會に敬意を表したい。
冒頭に同教授の退官記念講演がある。同學在職20年間を回顧せられ大正11年大學創立當時の状況より研究室に行われた研究の經路を辿り同時に未發表に終つている研究にも觸れておられる。胎盤ホルモン,角膜水晶體及び蛋白液の紫外線吸收,逆傳導(antidromic action),神經の減衰傳導,描記桿杆による記録の吟味,Hillの筋熱發生の追試,いとめ群遊,動物發光機構,低壓に於けるCO2の重要性,感覺生理學の研究,刺激閾の問題,中樞神經機能,抑制の研究,クロナキシメトリン等々が主なるものであるが研究は誠に多方面に渉りしかもいつも,up to dateの問題を取上げられたことは往年の生理學會に於て誰も皆感じたところ,上は唯その大略に過ぎない。實際書中に収められた業績目録を見れば博士の名を以て發表せられたもの40篇,博士指導によるもの470篇の多きに上つている。この大きな足跡に深い敬意を表する。筆者が大學を出て間もない生理學會で某氏の發表に對し,博士が桿杆の描記の大きさで1も2もなく攣縮の大きさを論ずることは出來ないと意見をのべられたことは尚筆者の記憶に殘つている。
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