論述
経口的環軸椎前方固定術に対する麻酔および術後管理に関する検討
伊藤 達雄
1
,
井上 駿一
1
,
辻 陽雄
1
,
山田 均
1
Tatsuo ITO
1
1千葉大学医学部整形外科学教室
pp.634-638
発行日 1977年7月25日
Published Date 1977/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905549
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はじめに
我々は,これまで経口的侵襲による環軸椎前方固定法をFang,津山らの述べている方法にて行つて来た2,9).症例によつては,本法が根治的治療法の中で最も優れたものであると思われるが,気管切開による挿管,引き続いて気管内チューブを2週間程度留置すること,および2週間の経鼻管による栄養などの処置は,患者にとつても負担が非常に大であり,これまでその必要性などについて疑問を抱いていた.
そこで経口的侵襲法による後咽頭部の手術について文献的に検索すると,Fang以前に,Thomsonらにより後咽頭膿瘍に,さらにCroweら(Southwickらが報告)により,膿瘍と,第2,3頸椎部の腫瘍に対し,経口的侵襲法を使用している6).Southwickらは,この時に経口挿管法による麻酔を用いているが,挿管操作による膿瘍破裂の危険がある場合や,手術野を広げる場合など,また術後の合併症などの点を考慮すると,経気管切開挿管がより適当であると述べている5).しかしその後の他の文献においては,術前に気管切開を行ない,麻酔は気管切開チューブにて行なつている3).
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