論述
10年以上経過したSalter骨盤骨切り術の吟味
家田 浩夫
1
,
石井 良章
1
,
松 賢次郎
1
,
泉田 重雄
1
,
鈴木 邦雄
2
Hiroo IEDA
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
2高岡市民病院整形外科
pp.566-573
発行日 1977年6月25日
Published Date 1977/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905537
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
先天股脱児の臼蓋が正常に比べて,より強く前額方向をとつていることをLaurent(1953)8)らは指摘し"Frontal Inclination of the acetabulum"と記載した.Salterの創始による骨盤骨切り術は,この前額面化の矯正と急峻臼蓋の補正を併せ行うことができるという点で大方の賛同を得て今日広く普及した手術法となつている.
本邦ではSalter(1961)が本手術法を発表してから2年後の昭和38年(1963年)泉田5)が東日本臨床整形外科学会で19例の追試を報告したのが最初と思われる.以後,その適応と限界等について多くの報告がある.しかしSalterの発表以来15年を経た今日でも長期にわたり多数例を調査した報告がなく,この方法の有用性について結論を得るには至つていない.一方,わが国でも10年以上の予後調査報告はまだ見当らないため今回われわれは術後10年以上経過した12症例の予後調査を行いX線所見の変化を中心に検討を加えた.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.