臨床経験
手術例からみたいわゆるバネ指について
南條 文昭
1
,
川井 香寿子
2
,
萩原 健二
2
,
山崎 典郎
2
Bunsho NANJO
1
1虎の門病院形成外科
2都立墨東病院整形外科
pp.628-634
発行日 1976年7月25日
Published Date 1976/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905373
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手指屈筋腱とその周囲組織の絞約性不適合のため腱の円滑な動きが障害されるいわゆるバネ指症例は日常少なからずみられ,Libscombらによると腱鞘炎の約58%が手に関係し,そのうちの約20%がいわゆるバネ指を主とした狭窄性腱鞘炎であるとされる.いわゆるバネ指にっいては1850年Nottaが初めて記載し,1858年にはNelatonが追加報告してより諸家の目が向けられた模様で,1889年にはSchönbornが腱鞘切開手術を記載し,現在にいたるまで多くの臨床的・症理組織学的報告や成因に関する論述がなされているが,その成因を含めて未だ不明確な点が多く残されている.
著者等は昭和43年より昭和50年初頭にいたる過去6年間に,都立墨東病院整形外科において手術を行なつたいわゆるバネ指症例の追跡調査を行ない,症例分布や術後成績などについていささかの知見を得たので,手術時採取した腱鞘の症理組織像の検討と,文献的考察を併せて報告する.
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