論述
脊髄Vascular Malformationの臨床—自験例6例を含めた116例の臨床的考察
辻 陽雄
1
,
大塚 嘉則
1
Haruo TSUJI
1
,
Yoshinori OTSUKA
1
1千葉大学医学部整形外科学教室
pp.110-128
発行日 1974年2月25日
Published Date 1974/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904950
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
脊髄麻痺を来たす脊髄外科的疾患の一つとしての脊髄血管形成異常は,比較的稀なものと考えられてきた観がある.その理由には蒲原ら35)の指摘するような脊髄脈管解剖や病理に不明な点が多いほか,本症がしばしば脊髄の広範な部位にわたつて存在し,bizarreな臨床経過,病像を呈しうること,さらに決定的な診断法に乏しかつたこと等も大きな原因と考えられる.従つて従来は脊髄腫瘍,arachnoiditis,myelopathy,myelitis,multiple sclerosis,amiotrophic lateral sclerosis,spinal arteriosclerosis,Buerger病,intermittent ischemia of the spinal cord,spinal cord syphilisなどの臨床診断で保存的あるいは外科的に治療されて,手術や剖検8)で始めて確定された例が少なからず存在した。ここ十数年来,西欧においては本症の診断と治療に急速な進歩がみられて来たものの,外科的治療には顕微外科的設備と熟練を要するためにしばしば手つかずのまま手術を中断することが少なくなかつたし,かかる経験は決して稀でなかつたはずである.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.