論述
整形外科の疼痛疾患におけるハリの経験
前田 敬三
1
,
金子 孝
2
Keizo MAEDA
1
,
Takashi KANEKO
2
1名古屋第一赤十字病院整形外科
2掛川市立総合病院整形外科
pp.48-54
発行日 1974年1月25日
Published Date 1974/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904938
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私たち整形外科の外来で疼痛疾患が占める範囲は非常に大きく,特に五十肩,腰痛などは患者が多いが故に臨床医にとつては大切な疾患である.しかし"腰が痛い","肩のだるやみがする"などと訴える時,必ずしも常に整形外科医を訪れるわけではなく,何割かの人達はまず針灸による治療に通い,そのうちの何割かはそのまま痛みがなくなつて「治癒」してしまうのが現状である.
痛みの機構と鎮痛作用についてはまだ十分な解明がなされていないようであるが,臨床面ではpain clinicの発展が著しく,痛みをなくして患者を苦痛から解放することが神経ブロックを中心にして行なわれている.一部ではその中に東洋医学による鎮痛法が取り入れられ3),最近は中国ブームも手伝つてかさらに関心が高まつている.私たちも古くから行なわれている東洋医学的鎮痛法に興味を抱き,どの程度の効果と応用範囲があるものかと考え,特にハリを使用して症例を重ねているので,現在までに経験した症例を反省し,その適応と限界の決定の一助になればと考えた.
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