論述
関節軟骨の栄養経路
二ノ宮 節夫
1
Setsuo NINOMIYA
1
1東京大学医学部整形外科学教室
pp.982-990
発行日 1973年12月25日
Published Date 1973/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904918
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関節軟骨が血管をもたない組織であることは18世紀半ば,Hunter, W.によつて記載されて以来疑う者はいない.それでは血管をもたない軟骨組織がどのような経路で栄養を得ているのかという疑問が出てくるのは当然である.この問題に関しては,それ以来200年以上にわたり,数々の推測と議論がなされてきた.
関節軟骨細胞の栄養源に関する論文をみると数多くの未解決の問題が示されている.解決されるべき問題点のいくつかは,
(1)関節液が栄養の主要供給源としてどの程度,また関節軟骨のどの層まで働いているか.
(2)もし存在するとすれば,軟骨下骨血管腔からの拡散が栄養の面で軟骨各層にどの程度の役割をもつているか.
(3)これらは成熟度にもとづく関節軟骨の顕微鏡学的構造の変化に従い,どのように変つてくるか,等である.
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