論述
骨髄炎のX線鑑別診断—特に悪性腫瘍との鑑別について
立石 昭夫
1
Akio TATEISHI
1
1東京大学医学部整形外科学教室
pp.480-489
発行日 1973年6月25日
Published Date 1973/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904850
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緒言
骨髄炎と腫瘍との鑑別が臨床上問題となることが多いことはこれまで諸家の指摘するところである.特に近年骨髄炎の起炎菌の変化,抗生物質の変遷とその耐性菌の出現などの諸因子が相互に影響しあい,非定型的な臨床所見,X線像を示す症例の増加が目立つている.
一般に骨髄炎と腫瘍とがX線鑑別診断上問題となる場合は大きく分けると次の4つの場合が多い.すなわち第一には瀰慢性に不規則な骨破壊をきたした汎発型の骨髄炎と骨の細網肉腫の鑑別である.第二には長幹状骨の骨幹端部,骨幹部あるいは扁平骨に生じた限局性の骨髄炎,あるいはいわゆるBrodie型の骨髄炎と良性骨腫瘍との鑑別である.この場合,腫瘍としては,non-ossifying fibroma,eosinophilic granuloma,chondromyxoid fibromaなどとの鑑別が問題となる.第三は小児の長幹状骨の骨幹端部に生ずるeosinophilic granulomaが時に強い骨破壊と同時に強い骨膜反応を示し,骨髄炎およびEwing肉腫との鑑別が問題となる場合である.
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