紹介
骨系統疾患の命名,分類についての最近の動向
杉浦 保夫
1
Yasuo SUGIURA
1
1名古屋大学医学部整形外科学教室
pp.343-346
発行日 1973年4月25日
Published Date 1973/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904830
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はじめに
骨系統疾患については従来多くの分類法が提唱されてきたが,いずれも一長一短,必ずしも満足すべきものはなかつた.1964年,Rubin11)がDynamic Classification of Bone Dysplasiasの著書を出版して以来,各骨系統疾患を,その主病変がそれぞれ生理機能を異にした骨の解剖学的区分epiphysis,epiphyseal plate,metaphysis,diaphysisのどこに存在しているかによつて分類し,骨化過程のどこかに障害があつて招来される骨化障害疾患bone dysplasia,骨格奇形dysostosis,ビタミン・ホルモン異常などの代謝障害に基く骨異常bone dystrophyの別を明らかにした比較的明解な彼の分類法が世界的に広く使用されるに至つた.もちろんこの分類法にもいくつかの難点,矛盾点のあることが指摘されてはいるが,多くのbone dysplasiaのX線学的特徴をその部のmodeling障害によつて招来される形態的変化と直結して理解し得る点では画期的な分類であり,関連文献を広くたんねんに渉猟し,多数の文献を整理,集録している点とあいまつて,骨系統疾患の研究には必須の参考書籍であり,その業績は高く評価されるべきものと考える.わが国においても,このRubinの分類法が天児ら1,2)によつて詳細に紹介されて以来,もつぱらこの分類法が利用されてきたように思われる.
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