臨床経験
2ヵ所にわたる腎癌骨転移巣に観血的治療を行なつた1例
田熊 清彦
1
,
三上 崇
1
,
小笠原 兵衛
1
,
山路 兼生
2
,
所 忠
2
,
富田 真寿生
2
,
船橋 建司
2
,
鈴木 庸之
3
Kiyohiko TAGUMA
1
1国立東静病院整形外科
2名古屋市立大学医学部整形外科学教室
3市立静岡病院臨床検査科
pp.861-865
発行日 1972年10月25日
Published Date 1972/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904757
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はじめに
骨の悪性腫瘍の中で,癌の骨転移はかなり多いものである1).従来ともすれば癌の骨転移をもつて末期的徴候とされ,もはや積極的な治療を行なうに値しないものとしてあきらめられる傾向があつた.しかし近年,放射線治療,薬物療法あるいは内分泌療法の発展とともに,骨転移巣に観血的治療を行なうことによりかなりの効果が期待でき,このような積極的な治療法がBremner & Jelliffe2),赤星3),前山4)らにより提唱されている.
今回私達は腎癌が上腕骨および大腿骨へ転移した症例に,その2ヵ所にわたる転移巣と原発巣に対し手術を行ない発症後5年,術後2年7ヵ月を経過し,苦痛もなく生存している症例を経験したので報告する.
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