臨床経験
脊椎分離症に対し我々の行なつた観血的療法にっいて
清水 正章
1
,
浜崎
1
Masaaki SHIMIZU
1
1清水整形外科病院
pp.1058-1066
発行日 1971年12月25日
Published Date 1971/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904631
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえがき
脊椎分離症に対する観血的療法については数多くの報告があり,その方法にも脊椎前方,側方,後方固定術,分離部骨移植術,分離椎弓摘出術等がある.しかし,これら従来の手術法には合併症,固定期間,手術侵襲等に幾分問題をなげかけており手術方法についても術者の考えによりいろいろな方法がとられているのが現状である.一方これまでの報告をみると脊椎分離症と辷り症(仮性辷りは含まない)の治療方針は同一に扱われている傾向にあるが,分離症と辷りは解剖学的にも異なつており分離症があつて放置すれば必ず辷りに移行するものでもなく,多くは辷りを確認した時点で椎弓分離を認めたものであろう.八木(1958)は分離症患者をレ線的に追究し最高11年間で1例の辷り移行もみなかつたと報告しているが,Hammond(1957),Woolsey(1954)らは椎体の辷りの進行は20歳位までに殆んど停止すると述べている.分離症から辷りに移行するのは分離椎弓の動揺によりfacet jointのinstability高度となり更に椎間板に影響を及ぼした結果であり発痛機序は辷りの場合,facet jointも関与しているもののむしろdiscogenicなものが多いかも知れない.すなわち分離症と辷り症はその解削学的な違いからしても当然発痛因子も同一ではなかろうし,観血的治療も別の観点から考える必要があると思われる.以上のことからわれわれは今回,脊椎分離症に対する観血的療法について述べてみたい.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.