論述
腰椎カリエスにおける所属リンパ系の動態—リンパ系造影法による吟味
宮下 冨士弥
1,3
,
河野 通隆
2
Fujiya MIYASHITA
1,3
,
Michitaka KONO
2
1栃木県がん検診センター外科
2国立村山療養所整形外科
3国立村山療養所外科
pp.693-701
発行日 1971年8月25日
Published Date 1971/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904582
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はじめに
炎症(ことに慢性炎症)や悪性腫瘍の外科にとつて,リンパ系の存在はきわめて関心の深いものである.すなわちリンパ系は,単なる異物に対してのbarrierとしての存在から,さらに抗原抗体反応ひいてはdisseminationなど提起される問題は山積みされているのであり,その全貌が明らかにされるまでにはなおいくたの歳月を必要とするのであろうと思われる.炎症には所属リンパ節の腫脹をともない,悪性腫瘍では転移しやすい.したがつて手術にあたつては廓清が必要であるといつた漠然とした臨床.上の解釈は乗り越えられるべきであつて,リンパ節の示すfine regulationを追求すべく,今回慢性炎症ことに特異性炎の一ジャンルとして腰椎カリエスをとりあげ,direct lymphographyの採用によりおもに生体におけるdynamic lymphatic flowの面からこれらの点を追求してみた.
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