特集 婦人科造影の臨床
リンパ系造影法の手技
鈴木 雅洲
1
,
渡部 侃
1
Masakuni Suzuki
1
1新潟大学医学部産科婦人科教室
pp.1027-1031
発行日 1968年12月10日
Published Date 1968/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203968
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はじめに
リンパ管あるいはリンパ節に造影剤を注入することにより,これをレ線学的に診ようとする試みは,Funaokaら(1930)1), Carvalhoら(1931)2)が最初である。しかし,これらはいずれも満足すべき結果は得られず,臨床的に応用されるまでにはいたらなかつた。これまでの方法は造影剤を組織内へ注入し間接的にリンパ系にとり入れられるのを待つて造影する間接的造影法であつたが,これに反し,Kimmonthら(1954)3,4)によつて下肢のリンパ浮腫の研究のために考案された直接リンパ管内に造影剤を注入するいわゆる直接法が開発された。これは低迷していた本造影法にとつて画期的なものであつた。その後Etiodolなどの油性造影剤の登場により5),この直接法は急速に確立されるにいたつた。
近年,臨床各科において本法は広く用いられ,その基礎的・臨床的研究は数多く報告されている。ことに,婦人科,外科,泌尿器科,放射線科などの各領域においては,本造影法はその悪性腫瘍やそれらリンパ節転移の診断法の一つとしてrou-tineの検査法として高く評価されている。
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