臨床経験
骨線維肉腫の1例—特にその微細構造について
西川 英樹
1
,
落合 勲
1
,
金子 仁
2
Hideki NISHIKAWA
1
1日本医科大学整形外科学教室
2国立東京第一病院・病理
pp.539-544
発行日 1971年6月25日
Published Date 1971/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904562
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緒言
骨の線維肉腫はJaffe1)およびLichtenstein2)により,骨の腫瘍性病変における独立した疾患としてのentityを認められるようになつた疾患であり,その病像が多彩なことより臨床的にも,また組織学的にも,骨の腫瘍性病変の中でも,いまだに多くの問題点をもつている腫瘍の1つであるといえる.松野3)らは,本腫瘍は結合織性細胞を基幹として,種々に修飾された組織像を呈するため鑑別は必ずしも容易でなく,できるだけ多くの症例についての観察と記載が必要であることを強調している.最近われわれは,27歳の男子で左脛骨に発生し,線維肉腫と診断され,大腿中央部での切断術を受けたが約2年9ヵ月の経過で死亡した1症例を経験したが,本症例は組織学的に線維肉腫とすることに困難を感じた症例であり,更に,その電子顕微鏡による検索をも行なつたのでその結果をも加えて報告する.
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